World Walking Vol.35 MALTA —Gozo, Comino Island— 「GOZO GLASS」の一輪挿し&ゴゾレースを3名様にプレゼント

前回ご紹介したマルタ共和国のマルタ島。今回は二つの離島「ゴゾ島」と「コミノ島」についてご紹介します。世界遺産として中世の面影を色濃く残したマルタ島と比べても、さらにプリミティブな暮らしが紡がれています。400年前に建てられた石造りの家で暮らし、手つかずの自然と遺跡が残された場所。ゴゾで暮らす人びとはローカル色豊かなマルタ島でさえ「せわしなくて落ち着かない」と話します。そんな地中海の小さな島での暮らしは、進化しすぎた文明と心地よい暮らしのちょうど良い関係に気付かせてくれました。

地中海の楽園「コミノ島」

島の面積わずか3.5㎢、定住者4名というコミノ島。マルタ島からはボートでおよそ30分の距離にあります。船が到着するとそこに広がるのは砂浜ではなく、島をぐるりと囲む岩礁。人が通れるようになってはいるものの、あくまで自然にできた小径といった感じです。この未開発の環境が作り出しているのは、絵にも描けないほど美しいブルーラグーン。海の透明度と白い砂浜によって太陽の光が海底に陰を作るため、まるで船や人が宙に浮いているように見えます。岩礁を伝って海へ入るので、岩場で怪我をしないようにアウトドア用のサンダルなどを着用した方が良さそうです。

マルタ島側の船着き場には小さなマーケットがあるので、こちらで飲み物や軽食を調達しておくのもおすすめ。
コミノ島へ渡るボートは小ぶりなものが多く、海を渡る風をダイレクトに感じられる。
途中でさまざまな洞穴なども案内してくれる。ちょっとしたツアーが楽しい。
クルージングを楽しむ人も多い。島にはクルーザーが集まるマリーナもある。
船着場の近辺は多くの人で賑わう。海側から見ると島が土と岩でできていることがよくわかる。

小さいけれどダイナミックな海遊び

コミノ島には小さな小島がたくさんあります。ラグーンを挟んでそれほど距離もなく、晴天時は波も穏やかなので、泳いで渡ることができます。小島へシュノーケリングで渡り、ケープ(洞窟)を探検したり、天然のジャンプ台から海へ飛び込んだりなど、ちょっとした冒険気分を味わえます。自然の遊びを満喫したら、海沿いに並ぶ屋台でビールやハンバーガーを買ってのんびり過ごすのもおすすめ。まさに楽園を絵に描いたような風景は、眺めているだけでもうっとりしてしまいます。マルタを訪れたらぜひ訪れて欲しい場所です。

向かいの島までの距離は1kmもなく、水深も浅い。シュノーケリングをしていると時間がたつのを忘れてしまう。
澄んだ水と海底のホワイトサンドが美しい。
一転、海を背にすると乾燥した大地が広がる。
こちらの海岸はクルーザーで楽しむひとたちが多い。トレイルランニングをしている人などもいて面白い。
散策をしていると拓けた場所に石を積んだケルンが。景色とマッチして不思議な世界観を生んでいる。

マルタ島とは似て非なる島「ゴゾ島」

マルタ島から北西6km、フェリーでおよそ1時間の場所にあるのがゴゾ島。「ゴゾ」とはカスティリヤ語で”喜び”を意味し、紀元前5世紀から人が住んでいたと言われています。第73回アカデミー賞を受賞した「グラディエーター」や古代ギリシャの戦争を描いた「トロイ」などの撮影地としても有名で、遺跡が点在する島内を歩くと、まるで映画のセットの中にいるかのような錯覚を覚えます。
ゴゾ島での移動手段は公共のバスがありますが、時間の間隔なども長いため車の方が便利です。タクシーも走っていますが、事前にツアードライバーを手配するか、マルタ島で借りたレンタカーをフェリーで運び、島を周るのも便利です。

乾燥した大地に沈む夕陽に浮かぶ姿は息を呑むほど美しい。写真はローマ時代に使用されていた水道橋。

プリミティブな暮らしを体験できる石造りのファームハウス

ゴゾ島での宿泊は市街地やリゾートのホテルなども便利ですが、せっかくなら島民同様の素朴な暮らしを体験できるファームハウスでの滞在もおすすめです。今回宿泊したのは400年前の農家を改築した宿泊施設。建物全体が石造りで、当時の暮らしがそのまま残されています。とはいえ、Wi-Fiなどは完備されており、不便を感じることはありません。石造りの家は真夏でも扇風機だけで充分心地よく、プールで一泳ぎした後のシエスタは格別です。朝食には採れたての卵と天然の蜂蜜に焼きたてのトースト、ディナーを頼んでおけばボリューム満点のBBQを用意してくれます。シンプルながら素材の味が濃く、身体にエネルギーが満ちていくのを感じます。ホストと一緒に囲むテーブルは実に楽しく、彼らのルーツや考え方に触れることができます。

敷地内にはいくつかのゲストハウスがあり、周囲にも石造りの静かな街並みが広がっている。

施設にテレビはなく、景色を眺めながらボーッと過ごす。そんな時間や暮らしをたまらなく贅沢だと感じる。
建物はすべてマルタストーンと木材でできており、400年前の営みがそのまま残されている。
ワイングラスを傾けながらBBQとお喋りで夜が更けていく。至福の時間だ。
朝日と共に自然に目が覚める幸福。この場所では、自然と原始的な喜びに包まれている。
天然の蜂蜜や採れたての卵は近所の人も買いに来る。

歴史がそのまま保存された場所

列強の国々に翻弄されてきたマルタの歴史のなかでも、もっとも厳しい状況にさらされ続けてきたゴゾ島。16世紀にトルコから攻められた際には多くの島民が奴隷化され、一時は絶滅の危機に遭ったと言われています。そんな歴史を象徴するのが、ゴゾの中心ヴィクトリア地区にある城壁に囲まれた街「チタデル(大要塞)」。敵からの攻撃を防ぐための堡塁(ほうるい)に囲まれ、ゴゾ島を360度見渡すことができます。城内を散策していると、常に敵からの侵入に備えていたことが伺えます。

チタデルには17世紀のバロック建築が美しい「ゴゾ大聖堂」があり、深紅の鮮やかな内観が荘厳な印象を与えます。当初は天井に「クーポラ(ドーム状の天井)」を作る予定だったそうですが、資金が足りなくなり、あたかもドームであるかのような天井画を描くことで済ませたそうです。そのことが、結果的にかえって完成度の高い精緻な絵を生み、だまし絵のある教会として話題を呼びました。

また、第264代ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世がミサを行った「タ・ピーヌ(Ta’ Pinu)教会」は、教会のそばを通りかかった農民が聖母の声を聞き、その後人々の病を治したという伝説があり、奇跡の教会と呼ばれています。世界中から病気の治療などを願う人が訪れ、壁には世界中から届いた感謝の手紙が貼られていました。

城壁からは島の端まで見渡すことができる。

城内は迷路のような造りになっている。マルタストーンと青空のコントラストが美しい。

入り組んだ堡塁が、敵の侵攻を食い止めたのだろう。

城壁の外周はぐるりとまわることができ、ゴゾ島の景色が一望できる。

1697年から14年の歳月をかけて造られた美しい「ゴゾ大聖堂」。
天井手前の空間が「だまし絵のクーポラ」部分。取材時は残念ながら修復中だったが、ドーム状ではないことがよくわかる。
とはいえ、その他の天井画も素晴らしく、見応えは充分だった。
タ・ピーヌ教会の周囲には大きな建物が何もなく、美しい佇まいがひときわ際立つ。
内部は白亜のマルタストーンで作られ、シンプルながらも荘厳な空気に包まれている。
第264代ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世がミサをあげた際の写真なども飾られる。

島全体が大自然の恵み

歴史を感じた後にぜひ訪れたいのが、ゴゾ島の自然を感じる場所。おすすめは「Salt Pans(塩田)」と「 Ghasri valley(アーシリの谷)」です。ビーチリゾートで有名なマーサルフォーンの海沿いには、約3kmにも及ぶ巨大なソルトパン(塩田)があります。ここで採れる塩は350年の歴史を誇るゴゾの特産品で、塩づくりは限られた家族だけに受け継がれた伝統的なもの。岩礁をくり抜き、海の塩をすくい上げて天日で干した天然塩は、粒が大きく美味。

さらに、海沿いを進むと「Ghasri valley(アーシリの谷)」があります。小さな入り江から海に入ることができ、谷を抜けると大海原へと繋がっています。波も少なく穏やかなので、泳ぎに自信のある方はぜひこの大自然を体験して頂きたいです。そそり立つ谷間を眺めながら仰向けで泳ぐと、なんとも言えない自然の偉大さを感じずにはいられません。

海水が乾くと一面が白くなる。奥の不思議な岩は風化によって岩が削られた「オラルバイダ (Qollal-Bajda)」。

ソルトパンのすぐ近くにあるソルトショップにも立ち寄りたい。

この谷は2kmほど続き、その先は海。泳いでいると雄大な自然に包まれているのを実感する。

入り口には小さな小屋もあり、着替えや休憩もできる。地元のファミリーで賑わっている。

自然や人の温もりを感じる伝統産業

ソルトパンの塩のように、ゴゾ島にはこの島特有の産業がいくつかあります。クラフトショップの集まるマーケットへ行くと目に入るのが「ゴゾガラス」や「ゴゾレース」といった職人による伝統工芸品。自然をモチーフにした鮮やかな色合いとハンドクラフトによる美しいマーブルが印象的なゴゾガラスは、コレクターもいるほど。一方、素朴な雰囲気のゴゾレースはひと編みずつ丁寧に紡がれた繊細な模様が特徴です。この技法は門外不出とされ、デザインによっては10cm編むのに1週間もの時間がかかるそうです。

自然の恵みを感じる産業のひとつが、のびのびと育った天然の蜂蜜。ゴゾ島のミツバチは5マイル(約8km)の範囲を飛び回り、約200種類もの花から蜜を集めてくると言われています。養蜂も伝統的なもので、ミツバチの自然な行動に任せているためストレスが少なく、その味は濃くて驚きます。また、大ぶりで良質なオリーブが採れることから、オリーブオイルも高い品質を誇ります。滑らかな舌触りと鼻腔を抜ける華やかな香り、ほどよい酸味はそのまま飲めるほど美味。オリーブオイルのイメージを覆すと言っても過言ではありません。

豊かな自然を感じさせる抽象画のようなゴゾガラス。鮮やかな色合いが見事。

ゴゾのガラス工房。ショップには大ぶりな花瓶などもあり、工房によっては体験や見学ができるところもある。

伝統的な技法で長い時間をかけて編まれるレース。繊細で素朴な風合いだ。

スーパーで売っている蜂蜜も天然のものが多い。養蜂しているファーマーは毎日採れたてを食べるとか。

オリーブオイルは量り売りのお店などもあり、さまざまな種類のオリーブの味比べをすることができる。

Something Greatを感じる場所

地中海の楽園、マルタ共和国。主要な3つの島をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。それぞれに特徴があり、自然や文化、歴史や風土など、マルタの魅力を多角的に教えてくれました。華やかなリゾートライフと豊かな地中海文化をみせてくれた、世界で最も美しい要塞都市「ヴァレッタ」のあるマルタ島。どこまでも美しいブルーラグーンが広がるコミノ島。そして、ゆったりとした時間の流れと根源的な喜びに満ちたゴゾ島。それぞれの島に滞在して感じたのは、えも言われぬ「偉大ななにか」を感じさせる場所だということ。朝日のパワーや風の流れ、そうした都市生活では忘れがちな「なにか」に身体が目覚めていく感覚。そんな、人間の本能的な喜びに気付かせてくれました。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、世界の国々が扉を閉ざし始めてしまったいま、世界を自由に移動できることのありがたさを痛感するばかりです。また世界に安心が戻ることを願うと同時に、この非常事態が収束した暁には大いに世界の魅力的な地域を訪れたいものです。

ゴゾ島から地中海に沈む夕陽を眺めていると、世界の広さと奥深さを実感する。

●この記事に関するお問い合せ
株式会社ゾディアック Libera編集部
Tel. 03-6380-0530 info@zodiac1987.com
●読者プレゼントのお知らせ
読者プレゼントにエントリーいただいた方の中から抽選で3名様に、「GOZO GLASS」の一輪挿しとゴゾレースをセットでプレゼントいたします。

〈詳細〉
・GOZO GLASS
マルタ共和国ゴゾ島にあるガラス工房。全ての商品はマルタの伝統的な手法で手作りされています。一点一点異なる柄が美しい製品は、マルタの自然からインスピレーションを受けて作られています。
今回は「GOZO GLASS」の一輪挿しに、ゴゾレースをセットでプレゼントいたします。

「GOZO GLASS」一輪挿し サイズ:高さ約10cm 直径約4cm
ゴゾレース サイズ:直径約10cm
※手作り品のため、サイズは目安となります。
※色柄はお選び頂けません。ご了承ください。

エントリー期間:2020年4月17日(金)〜2020年5月25日(月)

※応募資格:エントリー期間中に、セゾンカードを1,000円(税込)以上ご利用いただいた方。
※当選者の発表は、賞品の発送(2020年6月中)をもってかえさせていただきます。
※(株)クレディセゾンが実施するほかのキャンペーンとの重複当選はございません。

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