五感を洗う大洗の海辺の別邸 里海邸 金波楼本邸 ペア宿泊券(夕・朝食付き)を1名様にプレゼント

「祭神降臨の地」と伝わる大洗の岩礁。その上に立つ「神磯の鳥居」。

「祭神降臨の地」と伝わる大洗の岩礁。その上に立つ「神磯の鳥居」。

いくつかの町村合併を経て茨城県・大洗町が発足したのは1954年(昭和29年)のこと。つまり戦後である。それに先立つ西暦856年に創建されたのが「大洗磯前神社(おおあらいいそさきじんじゃ)」。大洗の町名はこの神社に由来するようだ。水戸光圀公が再興に力を尽くしたという高台の神社は、大きな鳥居が印象的。その鳥居の斜め前に位置するのが「里海邸 金波楼本邸」。旅館というより「大洗のもう一つのわが家」といった親しみやすさにあふれている。

大洗の海に面した大洗磯前神社正面の鳥居。

大洗の海に面した大洗磯前神社正面の鳥居。

「ご自分の家のように……」

初めて車で「里海邸 金波楼本邸」を訪れたとき、うっかりその前を通り過ぎてしまった。目印になるような看板やサインなどが見当たらなかったからである。あったのは「里海邸」と書かれた小さな木の表札だけ。このこと一つとっても、ここがありふれた旅館とは一味もふた味も違うことが分かる。看板を出さないのは「ご自分の家と思っていただきたいから」とご亭主の石井盛志(せいし)さん。そう、ここは旅館というより大洗の「別邸」といった趣なのだ。

目印はこの小さな表札だけ。

目印はこの小さな表札だけ。

明治期から続く老舗旅館

里海邸の前身は、明治期に建てられた129年も続く老舗旅館「金波楼」。地元の網元が、蒸気船などさまざまな事業を手がけたうちの一つが海水浴客向けにつくられた保養のための旅館「金波楼」だった。当時としてはとてもモダンな建物で、その賑わいぶりを示す広告が今も残る。その後、何度か建て替えられたようだが、里海邸になる前の金波楼で学生時代にアルバイトをしていたのが盛志さん。元は宇宙工学を学び、大手メーカーに勤務していたこともあるが、金波楼を継ぐ石井文佳(ふみか)さんと結婚したことで新たな旅館づくりに乗り出す。

正面の佇まいも控えめ。

正面の佇まいも控えめ。

海に面した裏手はモダンなデザイン。

海に面した裏手はモダンなデザイン。

大洗のわが家

そのときに考えたのが「人は本当に、これまでのような旅館でくつろげるのだろうか」ということ。「温泉に入って美味しいものを食べて近くを観光してと、気分転換にはなるかもしれないけど、やはり帰って来ればわが家が一番、となるのではないでしょうか」というものだった。「それなら最初から、わが家にいるような雰囲気の中でくつろいでもらってはどうだろうか」と考えたのが「里海邸」だった。そのため盛志さんは「別荘番」を自認、文佳さんも「別荘のおばさん」と称してスタッフと一緒になって立ち働いている。

門を入って小さな庭を抜けると玄関に。
畳敷きの内玄関には花が生けてある。
陽当たりのよいダイニング風のサロン。
薪ストーブにピアノにオーディオがあるライブラリー。

時間の流れは、ゆっくり深い……

実際、玄関からサロン、ライブラリーに抜けるスペースは、どこかのお宅にでも招かれたかのよう。旅館につきものの帳場や、ホテルで見かけるフロントの類はどこにも見当たらない。あるのは、つい腰を下ろしたくなる座り心地のよさそうな椅子と、がっしりした木のテーブルだけ。それが、館内のあちらこちらにふんだんに配置されているので、それだけでも気分がなごむ。いつの間にか「客」という意識がうすれ、ぼーっと海を眺めていたりする。海の色が刻々と変化していくことに気づくほど、時間の流れはゆっくりと深い。

明治期の金波楼の賑わいを示す広告。この資料は偶然、京都で発見された。
目の前は大洗の海。左手奥に「神磯の鳥居」が見える。
海辺のお風呂は石の風呂と木の風呂の二つ。お湯は大洗磯前神社のご神水の水源から引いた湧水を沸かしたもの。
お風呂と海が一つになって、地球の不思議を思う……。

震災後のオープン

こうして金波楼の名を残しながらも、「鄙びた里の海辺の別邸」という思いを込めて「里海邸」と名付けた別荘旅館がようやく完成、オープンにこぎつけたのは2011年11月だった。そう、あの東日本大震災の8ヵ月後のことだ。「およそ2年間の長い休暇をいただいたようなものでした。ほとんど開店休業状態でした」と盛志さん。幸い、津波などの被害は免れたものの、すべての準備が整っていたので、開けないわけにはいかなかったようだ。「お陰様でゆっくり時間をかけて、考えながら仕上げていけました」と文佳さんも屈託がない。

「これほどしっかり海を眺めていたことがあっただろうか」と思えるほど、見飽きない風景。

「これほどしっかり海を眺めていたことがあっただろうか」と思えるほど、見飽きない風景。

風呂上がりはここでビール片手に海を眺める。「考える時間を持つことの大切さ」を知る。

風呂上がりはここでビール片手に海を眺める。「考える時間を持つことの大切さ」を知る。

新鮮な旬の食材を食卓に

ひと風呂浴びたところで、夕食のお座敷へ。大洗の潮騒の音を聞きながらの夕餉は、地元の食材をふんだんに使った上質な家庭料理の趣。その日の朝、市場に行って新鮮なものを仕入れてくるので、大洗名物の鮟鱇といえども、いつも手に入るとは限らない。「それは、家庭の食卓でも同じですよね。型通りのごちそうよりも、その季節、その日、そのときの最上の食材を食卓に上げるようにしています」と盛志さん。板前さんも「大洗まで来てよかったと思っていただけるものをお出ししたい」と食材の吟味に余念がない。

夕食は海の見えるお座敷にセット。
お酒は茨城県笠間市の地酒「郷乃誉(さとのほまれ)」をいただく。生酛(きもと)造りの大吟醸は香りが良くてキレがいい。
具沢山の茶碗蒸しはボリューム満点。
真鯛、メジ鮪の刺身に鮟鱇の共酢が美しく盛り付けられる。
牡蠣のフライ(左)には胡麻葱のタルタルが添えられ、錦爽鶏(きんそうどり)の炙り焼き(右)には香辛味噌がつく。奥は口中をさっぱりさせる柿の手毬シャーベット。
メインは鮟鱇と地元野菜の煮込み鍋。鮟鱇は「鮟鱇の7つ道具」と呼ばれているように骨以外、捨てるところのない無駄のない魚。ただし、さばいて洗い上げるのに驚くほど時間と手間がかかる。
土鍋の中で白菜、葱、牛蒡、紫大根、春菊など、地元で採れた野菜が湯気を立てて煮える。
常磐産目光(メヒカリ)の温南蛮漬。これがまた、めっぽううまい!
締めは太打ちの田舎饂飩(うどん)と穀米雑炊。柚子巻き大根、蕪浅漬、根昆菜、白菜キムチ漬けなど自家製のお香々が絶品。デザートは無花果(いちじく)真丈を乗せた粒氷ミルクアイス。

季節ごとに楽しめる小さな宿

里海邸の客室は、2階と3階にそれぞれ4室の合計8室。この小さな構えが、この宿をわが家のように思わせるのかもしれない。わが家であれば、子どもや赤ちゃん、お年寄り、体の不自由な人がいても当たり前。それぞれの事情、好み、滞在の目的などに合うよう、さまざまな間取りとレイアウトの客室が用意されている。「ここでお仕事をなさる方もいらっしゃいますし、お部屋で打ち合わせをするグループも。夏は家族連れでにぎやかになり、冬は料理を楽しみに来てくださる方が多いですね」と文佳さん。

客室は和室・洋室など、すべて異なるレイアウト。
家具調度類もそれぞれの客室に合うように選んである。
ベッドルームは清潔感にあふれた気持ちの良い空間。
こんなテラスで打ち合わせができたら、アイデアも湧き出る……。
表情豊かな大洗の海。太平洋を独り占めしたような贅沢な気分になる。

ゴルフもいいが、ぼんやりも捨て難い

大洗といえば、ゴルファーなら大洗ゴルフ倶楽部を思い浮かべることだろう。名匠・井上誠一が設計した松林の美しいタフなシーサイドコースである。これまでに数々のプロトーナメントも実施されており、ゴルファーなら一度はプレーしたいと願う名門コースだ。里海邸に泊まっていればメンバーでなくても予約可能とのこと。次に来るときはゴルフクラブでも担いでくるか……。いや、待てよ。ゴルフもいいが、ここでぼんやり過ごす時間はさらに貴重だ。ここでは確かに、夫婦で一緒に時間を過ごしていると実感できるのだから……。

朝食は海から昇る朝日を眺めながら、掘り炬燵式のテーブルがある板張りのお座敷でいただく。

朝食は海から昇る朝日を眺めながら、掘り炬燵式のテーブルがある板張りのお座敷でいただく。

海の幸がいっぱいの海鮮サラダで寝起きの体もシャッキリ!

海の幸がいっぱいの海鮮サラダで寝起きの体もシャッキリ!

肉厚の鯖の味醂干しは、まさに日本の朝餉。

肉厚の鯖の味醂干しは、まさに日本の朝餉。

杏仁豆腐にブルーベリージャムをトッピング。ミントの葉が爽やか。

杏仁豆腐にブルーベリージャムをトッピング。ミントの葉が爽やか。

“お帰りなさい”と迎えたい

自ら「別荘のおばさん」という文佳さんは、少しも女将然としたところがない。盛志さんというパートナーを得て、受け継いだ金波楼を全く新しい概念で再興することができたのでひと安心と思いきや「まだまだこれから。工夫が足りないところもたくさんありますので、毎日が勉強です」と目配り、気配り、手配りに余念がない。「二度目にいらしたお客さまを“お帰りなさい”とお迎えするときに生きがいを感じます」というように、いつもお客さんにとっての“わが家”を心がけているようだ。

「大洗で生まれ育ったので、ここの海と空と空気が大好き」と文佳さん。その気持ちが、こちらにまで伝わってくる。

「大洗で生まれ育ったので、ここの海と空と空気が大好き」と文佳さん。その気持ちが、こちらにまで伝わってくる。

●「里海邸 金波楼本邸」への問い合わせ
Tel.029-267-2101
http://www.satoumitei.jp/
●読者プレゼントのお知らせ
エントリー期間中、セゾンカード・UCカードを1,000円(税込)以上ご利用のうえエントリーいただいた方の中から抽選で1名様に、「里海邸 金波楼本邸」の夕・朝食付き1泊ペア宿泊券をプレゼントいたします。

エントリー期間:2017年1月17日(火)〜2月24日(金)

※宿泊券有効期間:2017年4月1日(土)〜2017年9月30日(土)
※ゴールデンウィークおよびお盆の期間は宿泊券の使用ができません。ご了承ください。
※当選者の発表は、賞品の発送(2017年3月中)をもってかえさせていただきます。

エントリーキーワード/里海邸
エントリーはこちら

35-dscn1886
test single
test single