世界屈指の西洋絵画コレクションを持つ美術館、ロンドン・ナショナル・ギャラリーが、200年近い歴史の中で初めて大規模な所蔵作品を海外に貸し出す歴史的な展覧会。ゴッホの《ひまわり》をはじめ、フェルメール、レンブラント、ベラスケス、ボッティチェッリ、さらにはルノワール、セザンヌなどの傑作61点の全てが日本初公開！これまで日本で見ることのできなかった傑作に会える奇跡のような展覧会だ！

ロンドン・ナショナル・ギャラリー内観
photo: Phil Sayer, ©The National Gallery, London

最上質の観光スポット

ロンドンに行ったら、ヨーロッパで最も高い87階建ての超高層建築「ザ シャード（The Shard）」（設計はイタリア人建築家レンゾ・ピアノ）の72階にある展望台からロンドン市街を一望することだろう。いや、できればその前に
ロンドン・ナショナル・ギャラリー（The National Gallery, London）に行ってフィンセント・ファン・ゴッホの《ひまわり》に会って、大英博物館（British Museum）で英国の建築家ノーマン・フォスターの「グレートコート」の美しさに驚嘆し、ロンドン自然史博物館（Natural History Museum）で恐竜にお目にかかりながらカフェを楽しむことをお奨めしたい。この3カ所の美術館・博物館と高級百貨店ハロッズ（Harrods）は、いずれも入場無料でロンドンの最上質を堪能できるのでつい寄りたくなる。

フィンセント・ファン・ゴッホ 《ひまわり》 1888年　油彩・カンヴァス　92.1×73cm
©The National Gallery, London. Bought, Courtauld Fund, 1924

奇跡的な大展覧会

その世界屈指の美の殿堂ロンドン・ナショナル・ギャラリーから、“ロンドンひまわり”として知られるフィンセント・ファン・ゴッホの代表作《ひまわり》を始め、西洋絵画の名だたる大御所、フェルメール、レンブラント、モネ、ベラスケス、ゴヤ、ルノワール、ヴァン・ダイク、ターナー、ムリーリョなどの名作、傑作の数々が一度に61点もやってくるというのだから、これは“世紀の大事件”といってもよいほどの奇跡的な大展覧会である。というのも、1824年の設立以来約200年の間、同館所蔵の作品が海外に貸し出されることはなかったからである。当然のことながら、今回の海外での展覧会は世界初であり、61点の作品は全て日本初公開である。

西洋絵画の逸品揃い

ヨーロッパの著名な美術館の多くは19世紀に開設されているが、そのほとんどは各王室の膨大なコレクションを母体として設立されている。そのため、それぞれの王室の「好み」が反映されており、必ずしも体系だったものにはなっていない。その点、ロンドン・ナショナル・ギャラリーは、設立当初から「市民による、市民のための美術館」を標榜しており、13世紀後半から20世紀初頭までのヨーロッパ絵画の名品を幅広く網羅している。その数約2,300点と、数万点を所蔵するような美術館に比べると数こそ少ないが、それだけに粒揃い、逸品揃いの名作コレクションとなっている。

美の最高峰

ロンドン・ナショナル・ギャラリーの所蔵品がわが国に貸し出されるに至ったのは、今年から来年にかけて「日英交流年（UK in JAPAN 2019-20）」に当たることが大きかったのではないか。これは、駐日英国大使館とブリティッシュ・カウンシルが共同で展開するもので、日本と英国の固い絆を深めていくためのもの。ラグビーW杯が開催された2019年9月から、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年9月までの1年間にわたって、各種美術展をはじめコンサート、演劇、オペラ、バレー、映画など多彩な催しが展開されている。美の最高峰を一堂に集めた今回の展覧会、美術館の方からわざわざ来てくれるのだから、この機会を見逃す手はなさそうだ。