「日本におけるロシア文化年」最大のイベント プーシキン美術館展 —旅するフランス風景画 東京都美術館「プーシキン美術館展」のペア観覧券を5組10名様にプレゼント

クロード・モネ 《草上の昼食》 1866年
©The Pushkin State Museum of Fine Arts, Moscow.

ロシアの首都モスクワの中心地にあるプーシキン美術館は、サンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館とならぶ世界的な西洋絵画のコレクションを誇る国立美術館。2018年は「日本におけるロシア文化年」「ロシアにおける日本文化年」相互開催の年とあって、そのプーシキン美術館からフランスの風景画65 点が大挙してやってくる。

クロード・ロラン 《エウロペの掠奪》 1655年
©The Pushkin State Museum of Fine Arts, Moscow.

70万点を超す収蔵作品

プーシキン美術館は、1912年(大正元年)に「モスクワ大学附属アレクサンドル3 世美術館」として開館した後、1917年(大正6年)のロシア革命を機に「国立モスクワ美術館」と名前を変え、さらにロシアの文豪プーシキンの没後100年を記念して1937年(昭和12年)に現在の名称「国立A.S.プーシキン記念美術館」に改められている。約70万点を超す膨大な収蔵作品によって、古代エジプトから現代に至る美術の流れを幅広く概観できるところに大きな特徴がある。

ユベール・ロベール 《水に囲まれた神殿》 1780年代
©The Pushkin State Museum of Fine Arts, Moscow.

ギュスターヴ・クールベ 《山の小屋》 1874年頃
©The Pushkin tate Museum of Fine Arts, Moscow.

伝説の二人のコレクター

プーシキン美術館の名を世界的なものにしているのは、何と言っても名品揃いのフランス近代絵画コレクション。印象派からマティス、ピカソまで、世界的な名画の逸品が数多く揃っている。そのコレクションをもたらしたのは、革命前のモスクワで財を成した伝説的な二人のコレクター、セルゲイ・シチューキンとイワン・モロゾフだった。シチューキンは親の代からの繊維商で豪商として知られ、モロゾフは名門貴族の出で、絹織物の工場などを所有していた。二人は19世紀末から20世紀にかけて、超一級のフランス絵画を収集している。

ピエール=オーギュスト・ルノワール 《庭にて、ムーラン・ド・ラ・ギャレットの木陰》 1876年
©The Pushkin State Museum of Fine Arts, Moscow.

ジャン=フランソワ・ラファエリ 《サンミシェル大通り》 1890年代
©The Pushkin State Museum of Fine Arts, Moscow.

市民のコレクション

サンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館が、かつてのロマノフ王朝の優雅な宮廷文化を継承しているのに対して、モスクワのプーシキン美術館は、どちらかといえば市民のコレクションがベースとなっている。そのせいか、アヴァンギャルドな精神は今も色濃く残っているとされ、同館の充実した教育プログラムや先進的な展覧会に対する評価は高い。ちなみに、プーシキン美術館展は、これまでにわが国でも2005年と2013年の2度にわたって大規模なスケールで開催されており、ファンは多い。2005年にはマティスの《金魚》、2013年にはルノワールの《ジャンヌ・マリーの肖像》が大きな話題になっている。

アルベール・マルケ 《パリのサン=ミシェル橋》 1908年頃
©The Pushkin State Museum of Fine Arts, Moscow.

アルフレッド・シスレー 《霜の降りる朝、ルーヴシエンヌ》 1873年
©The Pushkin State Museum of Fine Arts, Moscow.

モネの《草上の昼食》に注目

今回のプーシキン美術館展で最も注目されるのは、初来日となるクロード・モネの《草上の昼食》であろう。ロシア大使館で行われた記者発表会の席で三浦 篤・東京大学教授は「モネ26歳のときのみずみずしい作品。具象リアリズムと印象派誕生前夜の中間的な時期の作品で、12人の登場人物と風景が調和した素晴らしい作品。特に銀杏の木の木漏れ日のタッチにモネの魅力があふれている」と解説している。《草上の昼食》は、同名のマネの作品(オルセー美術館蔵)が有名だが、両方を見比べてみるのも面白そうだ。

ポール・セザンヌ 《サント=ヴィクトワール山、レ・ローヴからの眺め》 1905-06年
©The Pushkin State Museum of Fine Arts, Moscow.

アンドレ・ドラン 《港に並ぶヨット》 1905年
©The Pushkin State Museum of Fine Arts, Moscow.

世界を広げる旅先の風景

今回の展覧会は、副題に「旅するフランス風景画」とあるように、旅をモチーフにしながら、フランス近代風景画の流れを紹介している。一口に風景画といっても実は、「風景画」として独立して描かれるようになったのは17世紀のオランダが最初で、それまでは神話や聖書の物語の背景として描かれていたに過ぎなかったという。身近な自然を愛したバルビゾン派の画家たちによる風景画を端緒に、旅先の目新しい風景を描いていきながら、やがて19世紀に入ってようやく風景画の世界は豊かに花開いていくことになる。

ポール・ゴーガン 《マタモエ、孔雀のいる風景》 1892年
©The Pushkin State Museum of Fine Arts, Moscow.

アンリ・ルソー 《馬を襲うジャガー》 1910年
©The Pushkin State Museum of Fine Arts, Moscow.

二人の目利きに感謝

今回の展覧会では、ロラン、ブーシェ、コロー、ルノワール、セザンヌ、ゴーガン、ルソーら、錚々たる大家の作品が数多く揃う。その数65 点。うち50点は日本初公開! 腕利きの画商の勧めもあったのだろうが、シチューキンとモロゾフは、よほどの目利きだったであろう。まだ評価の定まらない時期のマティスの作品なども積極的に購入している。「美は富あるところに集う」と言われているが、いくら富を手にしていても、目が節穴では名品を手にすることはできない。この二人の鑑識眼に感謝しながら、眼福にあずかろうと思う。

「2018年は日本におけるロシア文化年。その最大のイベントの一つがプーシキン美術館展。ぜひ、ご覧いただきたい」とロシア連邦交流庁 駐日代表のヴィノグラドフ・コンスタンチン氏。

●プーシキン美術館展 —旅するフランス風景画
会 期:2018年4月14日(土)〜2018年7月8日(日)
会 場:東京都美術館(東京・上野公園)企画展示室
開館時間:09:30〜17:30 ※金曜日は20:00まで。※入室は閉室の30分前まで。
休室日:月曜日(ただし4月30日は開室)
観覧料:一般1,600円(1,400円)/大学生・専門学校生1,300円(1,100円)/高校生800円(600円)/65歳以上1,000円(800円)
※( )内は前売り・団体料金
※中学生以下および障害者手帳をご持参の方(付添の方1名を含む)は無料
●展覧会への問い合わせ
Tel. 03-5777-8600(ハローダイヤル)
公式サイト http://pushkin2018.jp
●巡回展 大阪会場
国立国際美術館(大阪・中之島) 2018年7月21日(土)〜2018年10月14日(日)
●読者プレゼントのお知らせ
エントリー期間中、セゾンカード・UCカードを1,000円(税込)以上ご利用いただいた方で、読者プレゼントにエントリーいただいた方の中から抽選で5組10名様に、東京都美術館で開催される「プーシキン美術館展」のペア観覧券をプレゼントいたします。

エントリー期間:2018年2月16日(金)〜2018年3月26日(月)

※当選者の発表は観覧券の送付(2018年4月中)をもってかえさせていただきます。

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