World Walking Vol.21 Around the TAIWAN —Tainan & Kenting— アミ族の伝統工芸を用いたブランド「Puna」のバッグを3名様にプレゼント
日本からの距離も近く、手軽に異国の文化を楽しめる台湾。特に近年はLCC(格安航空会社)などの路線も充実し、身近な渡航先として人気です。およそ九州ほどの面積でありながら、島を一周すると雄大な自然や歴史、原住民族による独自の文化など様々な表情を見ることができます。第一回は「桃園(タオユェン)空港」から高速鉄道で台湾最古の街「台南」へ。そして最南端のビーチリゾート「墾丁(ケンティン)」をご紹介します。
鉄道で一気に南へ
台湾では、台湾を一周する「台湾鐵道(台鐵)」のほかに、島の西側を台湾高速鐵道(台湾高鐵)が通っています。2007年に開通し、台北市と高雄市を結ぶこの路線には日本の新幹線技術が多く取り入れられ、最高時速300km/hを誇ります。「桃園空港」から、今回の最初の目的地である台南市の「高鐵台南站」まではおよそ90分。車内の作りもどこか日本の新幹線に似た雰囲気です。「高鐵台南站」からはローカル線の台湾鐵道(台鐵)に接続している「台鐵沙崙站」で乗り換え、「台鐵台南站」へと向かうと古都の風情あふれる台南市に到着です。
府城の古都「台南」
台南市は台湾で最も古くから栄えた街の一つで、17世紀には首府が置かれていました。歴史的な名所と新しいカルチャーが織りなす街並みは、戦争によってオランダや清朝時代の中国、そして日本など様々な国に統治された台湾の歴史を静かに物語っています。街全体は坂が少なく平坦なので、自転車を借りて街をまわるのもおすすめです。 そんな古都の風情を楽しむなら、まずは訪れたいのが「神農街」エリア。その昔、街道だったこの通りは間口の狭い町家作りが今も残り、素朴な雰囲気が楽しめるエリアです。現在はカフェや雑貨店にリノベーションされたお店が多く並び、こだわりのスウィーツやコーヒーが好きな地元の若者にも人気です。また、神農街の突き当たりには1685年に建立された台湾最古の「薬王廟」があり、名前の由来になった神農大帝(藥王大帝)が祀られています。
悠久の時を物語る史跡
また、台湾の歴史を語る上でまず見ておきたい史跡のひとつが「安平古堡」。台湾では珍しいレンガ造りの建築物は、1624年に上陸してきたオランダ人によって築かれました。当時の台湾は特定の権力者のいない「無主の島」といわれ、この軍事拠点が築かれたことで実質的にオランダに支配されました。見晴台からは安平港が望め、その昔は軍艦などが行き交ったのだと思わせます。 「安平古堡」の少し先にはガジュマルの樹が建物を包みこんだ幻想的な廃屋「安平樹屋」があります。「ミシュラン グリーンガイド台湾」で2つ星を獲得し、一躍注目されることとなったこの場所は、もともとイギリス商の徳記洋行が所有していた倉庫。日本統治時代は塩を保存する塩庫にも使われていましたが、第二次世界大戦中に撤退し、その後放置されていました。廃屋となったこの場所は鳥たちの憩いの場所になり、草木の種を運んできたためこのような姿になったと言われています。大木とレンガ造りの建物が溶け合ったようなこの場所は、植物の生命力とパワースポットのような不思議な空気を感じることができるでしょう。
歴史とモダンの共鳴
街の中心的なスポット「湯徳章紀念公園」の近くには、「林百貨店」がそびえます。そびえると言っても、わずか5階しかないこの建物ですが、建設当時は台南唯一のエレベーターがあり、あたりでも群を抜いた高さを誇ったことでしょう。いまでもメインストリートに輝くその姿は、実に堂々とした佇まいです。エレベータに乗って屋上にあがると、空襲の爆撃跡が保存されており、創業者の林方一氏がまつられた神社跡が今も大切に残されています。戦争の爪痕が保存される歴史的な側面を残しつつも、台湾のクリエイターによるクラフトアイテムなどを多く扱う店内はモダンに改装され、現代の台湾の空気を感じさせます。洗練された内装と歴史の重みとのギャップに時代の変遷を感じました。
新しいトレンドの息吹「府中街」
林百貨店から少し南東へ行くと、神農街とはまたひと味違った風情のカフェやショップが集まるエリアがあります。「府中街」と呼ばれるこの通りは、オーナーやデザイナーの個性を活かしたお店が集まり始めていて、小径を探検するのが楽しいエリアです。いまの台湾の空気を象徴するのが、通りから少し入ったところにある「品蓬咖啡(ピンポンコーヒー)」。台湾では最近、裏通りに個性豊かなカフェが増えているのですが、その背景には若者の価値観の変化があります。出世やお金儲けではなく、ささやかな幸せを大切にする「小確幸(小さいけれど確かな幸せ)」という考え方が広がり、小さなカフェや本屋を営むというのが一種のライフスタイルとして定着してきているのです。ぜひ、気になる喫茶店を見つけたら、「小確幸」を感じてみてください。
朝市で街の息づかいを感じる
食の都と言われる台南には「台南小吃(郷土グルメ)」と呼ばれる美味しい料理がたくさんありますが、台南に宿泊するのであれば、ぜひ朝市へ。朝食から外食をする習慣のある台湾では、多くのお店が朝早くから開いています。海安路と民権路の交差点付近には「水仙宮市場」があり、こちらでは朝市が催されています。迷路のような市場には豊かな土壌で育った野菜やハーブ、調味料、そして海産物を扱う出店が所狭しと並び、手軽に食べられる軽食を求めて地元の人たちで賑わいます。市場の奥には海と貿易の神様「水仙尊皇」を祀った水仙宮があり、その近くの「麵條王海産麵」で地元客に混じって食べる「海産麵」は絶品。活気あふれる早朝の市場は、まさに現地の息づかいを肌で感じることができます。
台湾最南端のリゾート地「墾丁(ケンティン)」へ
台湾一周を目指すなら台湾で最南端の街「墾丁(ケンティン)」も外せません。屏東(ピントン)県に位置するこのエリアは台湾鐵道が通っていないため、台湾リピーターでも訪れる人は少なく、観光地としてはまだ一般的ではありません。その昔、原住民族のパイワン族が住んでいたとされる秘境は、良い波を求めて旅するサーファーやビーチリゾートを求める外国人、台湾通からも注目を集めています。 台南からは台湾鐵道で高雄を経由し、高鐵の「左營駅」から長距離バスで向かいます。高雄からの所要時間は2時間ほどなので日帰りでの観光も可能ですが、墾丁ではメインストリートがまるごと夜市になるため、ゆったりとした時間と熱帯風景を楽しむなら一泊以上の滞在がおすすめ。手つかずの自然から眺める夕陽や朝日、リゾートライフと自然散策が楽しめます。
ランズエンドの雄大な自然
アクセスの不便さは、一方で豊かな自然を残してくれました。墾丁には日の出と夕陽の有名なスポットがあるのですが、どちらも見ることができるのはランズエンドならでは。朝日を望むベストスポットは東側の「龍磐公園」。眼下にはこんもりとした森が広がり、その先の太平洋からゆっくりと朝日が昇る様子は息をのむ美しさです。その少し南には正真正銘の最南端「台湾最南点碑」があり、海岸線の26号線を西に進むと大湾と小湾からなるビーチ。小湾のすぐ裏手の山に広がる「社頂自然公園」には大森林の中を散策できる遊歩道が敷かれています。 一方、夕陽を眺めるなら西側の「関山遊憩区」がおすすめ。こちらは南シナ海に沈む夕陽を見ることができます。ここから海岸線をさらに西へ行くと「国立海洋生物博物館」があり、台湾水域の海洋生物について興味深い展示を見ることができます。また、水族館に泊まれる「夜宿海生館」というサービスなどもあり、教育を目的としたアクティビティが充実しているので、家族で非日常の体験をしてみたい方にはおすすめ。また、海水浴やのんびりビーチライフを楽しむならアクティビティやビーチハウスが充実している南湾が賑やかです。
ゆったりとした墾丁カルチャー
タクシーなどが少ないため交通手段の限られる墾丁では、公共のバスを利用するか、レンタルスクーターで移動するツーリストも多く見かけます。小型の原動機付自転車か、電動のスクーターを借りられるお店も多いので、検討してみるのも良いでしょう。もちろん、徒歩で移動できる範囲内でもたくさんのお店があり、メインストリートである墾丁路に繰り広げられる夜市は巨大な縁日のような賑やかさ。他にも海外から移り住んだ人たちが営むバーやショップも多く、国際色豊かな雰囲気に彩られます。 また、リゾート地として発展し始めたこのエリアには、メインストリートから少し離れた場所に高級リゾートが建ちはじめ、お店のレベルも洗練されてきているのを感じます。もともと食材などが豊かな上に、異国のトレンドや文化が混ざった雰囲気は独特です。墾丁路のカフェ「SIROCCO CAFE」は看板に「Brunch Beer」とあるように、ゆったりとした墾丁カルチャーを象徴するようなお店。自家製パンと新鮮なフルーツジュース、地元の食材を使ったメニューが自慢で、陽光が差し込む店内では心地よいひとときを過ごすことができます。
ローカル線で北上の旅
大自然の中でリラックスしたら、台湾東部最大の街「花蓮(ファーリエン)」を目指します。墾丁からはひとまず台湾鐵道の駅「枋寮(ファンリャオ)」までバスで移動します。日本が統治していた時代、日本最南端の駅舎だったこの場所は、台湾鉄路南迴線の起点でもあり、のどかな田舎の雰囲気の街並を散策するのも一興です。台東エリアなど、台湾の東側へ立ち寄る場合も、高雄まで戻らずにこの駅から向かうと効率よく移動できます。 台北からも台湾鐵道の特急列車で2時間ほどの距離にある花蓮。地殻変動によって隆起した大理石の地層が切り立つ台湾随一の景勝地「太魯閣(タロコ)峡谷」、原住民族の文化や伝統料理などに触れることができます。一方で「小確幸」を体現する陶芸のクリエイティブスタジオ「Hunshen魂生製器」など、次回のWorld Walkingでは花蓮の魅力をご紹介します。
※原住民という表現について:日本では差別的な表現になるため、元々その地で暮らしていた人々のことを「原住民」ではなく「先住民」と表現するのが主流になっております。しかし、台湾では「先住民」という言葉には「すでに消滅してしまった現在は存在しない民族」という意味があり、元々その地で暮らしていた人々のことを「原住民」と表現しています。Liberaでは台湾の表現にあわせ「原住民」という表現を使用しております。
<取材協力:柘植亜美(Ami TSUGE)>
2013年に初めて訪れた台湾でその魅力に感動。
現在では台湾公式のインスタグラマーとして、台湾鐵道で台湾を一周するなど、独自の視点で台湾の魅力を発信。
Taiwan Creative Culture Magazine/PB by Plum Bloom
Instagtram/https://www.instagram.com/ami.plumbloom/
World Walking Vol.22
Around the TAIWAN —Hualien—
https://www.e-libera.com/travel/2018/10/worldwalking22/
読者プレゼントにエントリーいただいた方の中から抽選で3名様に、台湾アミ族の伝統工芸技術を用いたブランド「Puna」のバッグをプレゼントいたします。
〈詳細〉
・サイズ:約40×22cm
・カラー:ブラック×オフホワイト/ピンク×グレー/パープル×水色 いずれか1個
※色はお選びいただけませんので、ご了承ください。
2018年9月14日(金)〜2018年10月25日(木)
※応募資格:エントリー期間中に、セゾンカードを1,000円(税込)以上ご利用いただいた方。
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