科学技術を文化として捉える 日本科学未来館 ペア入館券を5組10名様にプレゼント
宇宙飛行士の毛利 衛氏を館長に、東京・青海に2001年7月に開館した日本科学未来館。「科学技術を文化として捉え、社会に対する役割と未来の可能性について考え、語り合う場」として、年間100万人を超す入場者を集めている。会場には科学を「分かりやすく、楽しく学ぶ」ために数々の工夫が凝らされていた。
科学は輝く未来を約束するか?
かつて科学は、人類の進歩の象徴だった。科学の進歩と発展こそが、人々の生活を便利なものに変え、豊かな生活を約束するものだった。車や飛行機、新幹線、それに、家電製品で溢れかえった住宅やパソコンにスマホ……しかし、気がついてみると、地球は急速な温暖化で、もはや人が住めなくなるかもしれない危機的な状況にあることが分かってきた。科学は果たして、輝く未来を約束してくれるのだろうか。
未来は「やって来させる」もの
未来館がこれまでの科学博物館と異なるのは、そこにはっきり「みらい」を見据えていることだろう。私たちはともすると「未来は向こうから勝手にやって来るもの」と思いがちだが、ロボット工学の研究者で大阪大学大学院教授の石黒 浩氏はPCの概念をつくったアラン・ケイ氏から「未来はやって来るのではなく、君の考え方と技術でやって来させるのだ」と学び、ロボットの研究を決断したという(朝日新聞「仕事力」より)。科学によって社会を変え、よりよき未来を「やって来させる」にはどうしたらよいか、そこに未来館からのメッセージが込められているように思われる。
地球と人類、いかに生き延びるか
そこで未来館は今年の4月、展示内容を大幅にリニューアルしている。その最大のテーマは「持続可能な地球環境」。気候変動や自然災害、エネルギー問題、人口問題など、地球の限界が見えてきたことにより、これを科学技術の力でいかに克服していくかは大きな課題だ。
新展示で最も注目されるのが毛利 衛館長自らが総合監修を務めている「100億人でサバイバル」。阪神・淡路大震災や東日本大震災は単なる自然現象ではなく、これまで安全と信じてきたものが根底からくつがえった大きな出来事。「想定や想像を超えた災害や事故が起こりうる」ことを見て分かるように展示している。
未来逆算思考
新展示でもう一つ注目されるのが「未来逆算思考」。これは50年後に暮らす子どもたちにどのような地球環境を残していけるか、ゲーム形式でアクティブに体験できるもの。現在の豊かな地球を次世代に受け継いでいくために何をしたらよいか、自分が選んだ理想の地球をゴールまで届ける体験を通して、何をするべきかを考える。未来逆算思考は、理想の未来を思い描いて、そこから現在にさかのぼるという思考法。技術を展示するだけでなく、思考法そのものを展示しているところが新しい。
注目の新展示
今回のリニューアルでは、地球の深部に挑む活動や、宇宙空間に挑戦する最新の姿を紹介する「フロンティアラボ」、地球ディスプレイ「ジオ・コスモス」のコントロールルーム「ジオ・コックピット」などが新設されている。また、未来館を訪れたノーベル賞受賞者たちから寄せられた「未来館にいつまでも考え続けてもらいたい問い」を展示した「ノーベルQ-ノーベル賞受賞者たちからの問い」もユニークだ。特に、物理・化学関係の日本人受賞者のほとんどがここを訪れており、手書きのメッセージが目を惹く。人気のドームシアターも最新作「9次元からきた男」を上映中。
何度訪れても飽きない
「科学」と聞いただけで頭が痛くなる方や、「勉強」と言われただけで逃げ出したくなる方は少なくない。それは、科学や勉強の時間が楽しくなかったせいかもしれない。この国では長い間、学問は試練と同義語で、厳しいもの、耐えるもの、辛いもので、むしろ楽しいものにしてはならなかったようだ。しかし現代では「MIT(マサチューセッツ工科大学)は限りなくディズニーランドを目指し、ディズニーはMITを目指す」と言われているように、Edu-tainment(楽しく学ぶ)の要素がないものは受け入れられない。また、そうした努力をしない分野は自然に淘汰されていくことになる。未来館は当然、楽しみながら学ぶ要素をふんだんに取り入れている。だから、いつ訪れても飽きない。
科学に親しむ企画展
未来館は年間100万人以上もの入場者を集めているが、その集客に大きく貢献しているのが、少しでも科学に親しんでもらおうと身近なものを素材にした企画展である。これまでに「お化け屋敷で科学する!」や「トイレ?行っトイレ!」、「ポケモン研究所」などを開催、好評を博している。この夏は企画展「The NINJA-忍者ってナンジャ!?-」を開催、約2カ月間で10万人以上の入場者を記録している。この一見、科学と縁遠いと思われる素材を、科学的な視点でその本質を捉える手腕は見事と言うほかない。しかも、存分に楽しみながら「忍者は実は戦う存在などではなく、あくまで生き延びて主君に情報をもたらすのが役目」ということを自然に理解させる。“忍術”は、生き延びるための手段だったのである。
世界科学館サミット2017を主催
日本科学未来館のこの15年間の歩みは必ずしも単調ではない。2011年には東日本大震災の被害を受け、一時的に休館を余儀なくされている。しかし、その後、順調に足取りを回復し、科学技術による災害への備えという考え方も浸透して、かえって存在感を増している。その結果、2017年11月に開催される世界科学館サミットを主催するまでになった。世界50カ国の科学館から500名以上が集まり、地球と自分自身の「つながり」を見つめ直す会議となる予定だ。地球規模の課題を解決するためのアプローチを見出せるかもしれない。
住 所:東京都江東区青海2丁目3番6号
電 話:03-3570-9151(代表)
U R L:http://www.miraikan.jst.go.jp/
開館時間:10:00〜17:00 ※入館券の購入は閉館30分前まで
休館日:毎週火曜日(火曜日が祝日の場合は開館) 12月28日〜1月1日
入館料:個人 大人620円 18歳以下210円 ※6歳以下の未就学児は無料
ドームシアター:大人300円 18歳以下100円 ※入館券とのセット購入のみ
駐車場:営業時間 9:00〜21:00 ※最初の1時間310円、その後30分毎に100円
エントリー期間中、セゾンカード・UCカードを1,000円(税込)以上ご利用いただいた方で、読者プレゼントにご応募いただいた方の中から抽選で5組10名様に日本科学未来館のペア入館券をプレゼントいたします。
※当選者の発表は、賞品の発送(2016年11月中)をもってかえさせていただきます。
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